モジュール

			
/**************************************************
  average.cc
  平均値フィルター処理
***************************************************/

vs_module
average(iImage data)
{
    // テンポラリ変数
    iImage shadow(data);

    // 径1の外周(全領域中での)は処理からはずす
    vsSetBoundary2D(1);

    // 並列処理開始（弱一貫性モデル）

    parallel(x,y) {
	shadow[][] = (data[-1][] + data[][-1] + \
		      data[+1][] + data[][+1]) / 4;
    }
    // 大域変数にコピー
    ImgCopy(data,shadow);

}

実行フロープログラム


/****************************************
  filter.vpe
  フィルター処理起動用スクリプト
 ****************************************/

// 通信処理初期化 -------------

#pragma host_name	host1
#pragma host_name	host2
#pragma host_name	host3
#pragma host_name	host4

// データの初期化 -------------
imgLoad("./toy.pgm", data);
set(data, CACHE, 1);

module("average", data);


// 保存するためにデータを回収
gather(data);
imgSave("result.pgm", data);

実行方法

入力画像の用意
モジュールのコンパイル
% vs_makemodule average.cc
プログラムの実行
% vios_run < filter.vpe

実行フロー設定項目

set(data, CACHE, 1);
このモジュールプログラムでは、注目画素に、その左右上下の画素値の平均を代入します。
この時、モジュールを実行する各計算機が持っている画像領域は下図１のようになっているため、画像の境界面においては自身が持っていない画素値が必要となります。
VIOSではこのような他の計算機が持つデータを必要とした場合、自動的にデータを取得して計算を行ってくれます。
しかし、これはネットワーク越しに変数を参照するので処理速度が低下してしまいます。
そこで考えられたのが、キャッシュを用いた手法です。
これは、画像を分割してモジュール実行計算機に渡す際に、図２のように読み込みのみ行うことができる領域（キャッシュ領域）を付加してやることにより、他の計算機とデータの通信をすることなく実行することができるようにするものです。

（注意）キャッシュ領域は、分割する際にデータを余分に追加してやるだけである。
よって、host1はhost2に与えたデータの一部分をキャッシュとして保持しているが、host2がその領域の値を変更したとしてもそれがhost1のキャッシュ領域に反映されることはない。

図１：２次元変数の分割

図２：キャッシュを含めた２次元変数の分割

モジュールプログラム説明

iImage shadow(data);
これは、２次元変数data　と全く同じ値を持つ変数　shadow　を定義している。
shadow　はただの変数名であり関数名ではないことに注意
vsSetBoundary2D(1);
このプログラムは上下左右の画素値を必要とする。しかし全体画像の最外枠の画素では画像外の画素を参照しようとするので実行することができない。
よって、最外枠は処理の範囲から除く必要がある。
それを行うのがこの関数である。この関数は２次元画像の最外枠１pixelをparallel内での処理範囲から除外している。
このような処理範囲除外関数は１次元、２次元、３次元それぞれに用意されている。
```
parallel(x,y) {
   shadow[][] = (data[-1][] + data[][-1] + data[+1][] + data[][+1]) / 4;
}
```
基本プログラム（反転フィルタ）でも述べたように、shadow[][]の引数なしの大括弧"[ ]"は現在の注目画素をしめす。
また、 data[-1][]　のように注目画素からの相対位置を示すこともできる。
例えば data[-1][]は、注目画素から見てX軸方向に -1　,Y軸方向に 0　ずれた画素の値を示す。
ImgCopy(data,shadow);
２次元変数のコピーを行う。この場合 shadow　をdataにコピーする。

実行結果・プログラム説明

このプログラムを実行すると、入力した画像がすこしぼやけた出力画像が獲られる。