ログエントリ数を考慮したLogTMアボート対象選択手法とその評価

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浅井 宏樹, 津邑 公暁, 松尾 啓志 : "ログエントリ数を考慮したLogTMアボート対象選択手法とその評価", 情処研報 (SWoPP2010) ,pp1--9 (Aug. 2010)

Abstract

マルチコア環境における並列プログラミングでは一般的にロックを用いて同期する.しかしロックの問題点として,デッドロックの発生や並列性の低下がある.そこでロックを用いない同期制御機構としてLogTMが提案されている.しかしLogTMの問題点としてアボートコストが高いことが挙げられる.アボートコストとはログに保存された値をメモリに書き戻すコストである.LogTMはアボートの対象をトランザクションの開始時刻のみで決定しているため,アボートコストが高いトランザクションをアボートしてしまう可能性がある.そこで本稿ではログエントリ数を考慮してアボート対象を動的に選択する手法を提案する.これによりアボートコストの高いトランザクションのアボートを防ぐことができ,結果としてプログラム全体の実行時間を削減することができる.提案手法の有効性を検証するため,既存のLogTMを拡張し,SPLASH-2ベンチマークを用いてシミュレーション評価を行った.その結果,既存のLogTMに比べて最大で約1.3%,平均1.1%の実行サイクル数が削減できた.


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